黒姫と水

 

黒姫山は、標高の1200メートル以上は昔から「ブナ」や「ダケカンバ」

「コメツガ」などに全山覆われていて水がとても豊富な山でした。

川が少なく、地下水に恵まれその水の一端は野尻湖の湖底から

湧き出しているとも言われています。

現在も黒姫山の北側や南側からはとってもおいしくて夏でも冷たい

伏流水がドンドンとあふれ出してきています。

また、黒姫山は一部が褐鉄鉱・・いわゆる鉄鉱石の岩盤の上に

乗っているため、特に北側・東側では赤い水が自然と湧き出していて、

赤川などと呼ばれる川になっています。

               黒姫山の赤い水の源流・・・御鹿池の近くでトレッキングでいけます

黒姫温泉も実はこの赤い水が源泉で、これを沸かしています。

 

       ↑御鹿湿原のリュウキンカ・・・ここも赤い水が浸みだしてきています

 

 

黒姫高原のとってもおいしい「水道水」

 

現在の黒姫高原の水道水は、黒姫高原スノーパークに掘ってある

深さ150メートルにも達する「深井戸の水」です。

ブナの森を通りじっくりと濾過され尽くした伏流水は、おいしいのは

もちろん・・・水の硬度も20と超軟水です。また、PHも7.2と

微弱アルカリ性でお風呂としても「ブナの森伏流水風呂」として、

とても暖まると好評です。

また、もう一つの水源・・・スノーパークの北側斜面よりの「鬼の釜水源」は

古来より「甘い水」として知られ、今も多少の甘さを感じます。

 

このように黒姫山の水は、熱い温泉水こそ有りませんが

逆に冷たくおいしい水をわれわれに提供し続けてくれています。

21世紀が「水の世紀」であり・・・・

コーヒーを飲むにも、お酒を仕込むにも、料理・炊飯やお風呂に至るまで

おいしく柔らかい水が、より必要となり・・・大切にされることでしょう。

 

伏流水とは?

地表に降った雨水、あるいは地表の融雪水は、地表を低い方へ流れるもの(表流水)と地下に浸透するものに分かれる(その他に蒸発するものや植物体に吸収された後、発散するもの、すなわち蒸発散水がある)。浸透した水は地下水となり、やがて地表の凹地や谷壁に湧きだして河川水となる。地表を流れる表流水と河川水に対して、地下を流れる水が伏流水である。伏流水は地中の保水性の高い層(粘土層や、固い基盤の上方の砂礫層や、割れ目の多い溶岩層など)に集中して流れているが、その速さは一般に地表の河川水より遅いと考えられる。時には、また所によっては、地下にほとんど停滞し保存された状態となる。富士山のような火山灰や割れ目のある溶岩の厚い層からなっている大火山は、とくにその広くゆるやかな裾野の地下に深部まで続く保水性の地層をひそませているので、富士山体は巨大な地下水貯蔵庫だといわれている。1983(昭和58)年の夏の三つの台風の際、富士五湖の一つ、河口湖の水位が異常に上がり、かつ長期間その水がひかないという災害が発生した。直接の原因は伏流水の増加であるが、元来水位の増減が激しい湖畔の低地を埋め立て利用した場所であること、御坂山地が富士山麓の天然地下水ダムからの排水を一層遅らせるような働きをしたことにある。

『現代用語の基礎知識』 (1991年CD-ROM版)より


硬度とは?


水の中に溶けているカルシウムイオンとマグネシウムイオンの量を言います。

降水・軟水の分類
一般的に軟水・硬水と呼ばれているのは、この硬度の数値の事です。
WHO(World Health Organization:世界保健機構)の飲料水水質ガイドラインでは、

軟水 硬度  0〜 60mg/L未満
中程度の軟水 硬度 60〜120mg/L未満
硬水 硬度120〜180mg/L未満
非常な硬水 硬度180mg/L以上

つまり炭酸カルシウム(CaCO3)が1リットル中に含まれているmg数で表します。
もっと詳しくなると、単位はドイツ硬度(dH)とアメリカ硬度(ppm)があり、CaCO3換算濃度1mg/L(ppm)は約0.056dHです。 現在日本では、アメリカ硬度を使っています。(昔は、ドイツ硬度でした)。因みに、大阪の水道水の硬度は45mg/L、pHが7.5だそうです

上記の水質ガイドラインによる軟水と硬水の違いは、硬度が120mg/Lより上か下かですが、一般的には、軟水を硬度0〜100mg/lとし、硬度100〜300mg/Lを中硬水として硬度300mg/L以上を硬水と大別する考え方や、硬度100mg/L以下を軟水とし、硬度100mg/L以上を硬水とする考え方もあります。

用途と硬度のアドバイス

軟水
赤ちゃんの調乳には硬度が0mg/Lが適しています。
和風だしの抽出には硬度がなるべく少ない方が適しています。
日本茶・紅茶・コーヒーなどには硬度が50mg/L前後が最適です。
(種類や嗜好によって異なります)
炊飯・湯豆腐などに適しています。
中硬水
しゃぶしゃぶなどの鍋物に適しています。
ボルシチなどの洋風のスープは灰汁が取りやすく澄んだスープが出来ます。
硬水
主にスポーツ後のミネラル補給や健康飲料として適しています。
妊娠時のカルシウムなどのミネラル補給に適しています。

簡単な硬度の計算方法

硬度=(カルシウム量×2.5)+(マグネシウム量×4)

または
CaCO3mg/L=(Ca値mg/L×2.49)+(Mg値mg/L×4.11)


pHとは?

酸性やアルカリ性をはかる「物差し」のようなものです。

pHの語源
ラテン語でpounds Hydrogeniiであり、poundsは重量を意味し、Hydrogeniiは水素を
意味します。pHは、水素指数の略号です。


pHの数値
pHの値には0〜14までの目盛りがあり、7を中性もしくは化学的中性点とも言います。
7より小さくなるほど酸性が強く、7より大きくなるほどアルカリ性が強くなります。
水にはその性質により酸性・中性・アルカリ性の3つあります。

pHの味と感触
酸性は、酸味を有しますし、アルカリ性は灰汁(あく)の様な舌をさす味を感じます。
そして、指で触るとぬるぬるして石鹸に似た感触があります。
これらの性質は、それらが強くなるほど顕著になります。
水に溶けている物質によってもpHが変わります。

身近なpH

胃液 1.8〜2.0
レモン汁 2.0〜3.0
食酢 2.4〜3.0
ワイン 3.0〜3.7
ビール 4.0〜4.5
醤油 4.5〜4.9
炭酸水 4.6
5.6
煎茶 5.9
尿 4.6〜7.4
水道水 5.8〜8.6
牛乳 6.4〜7.2
母乳 6.8〜7.4
唾液 7.2〜7.4
血液 7.4
8.2
海水 8.3
石鹸水 9.0〜10.0

酸性食品・アルカリ性食品
私たちが普段食べている食品には、酸性のものやアルカリ性のものがあります。
栄養学でいう酸性食品・アルカリ性食品と呼ばれているものは、その食品そのものが、酸性であるとかアルカリ性であるとかという事ではないのです。
それらの食品を摂取して、それらが体内で酸性を示すのかアルカリ性を示すのかという事をあらわしているのです。


よく例にあげられるのが、梅干です。これと同様に柑橘類も食べた時は、酸っぱく感じます。それ自体は確かに酸性ですが、これらは典型的なアルカリ性食品と呼ばれているものです。

人間のからだは、pH値が7.35〜7.45を保つようになっています。
食品によってからだが、酸性やアルカリ性に傾倒する事はありません。
例えば、酸性食品と呼ばれているものばかりを食べている人は、pH値が7以下の酸性を示すかというとそうではなく、ちゃんとpH値が7.35〜7.45の間になっています。
調査によると典型的な肉食のエスキモーの人たちを調べると、pH値が7.35〜7.45の間になっていますが、尿や汗が酸性傾向が強い事を示しているそうです。

つまり、からだをアルカリ性にする為にアルカリ性食品ばかりを食べていても、からだはアルカリ性になるのではなく、肉ばかりを食べている人のからだが酸性になる事は、決してないのです。
食品は、それぞれに重要な役割を持っています。これは酸性食品だから、これはアルカリ性食品だからと過敏に反応せずに、バランスのとれた食事を心がける事が、最も大切なのです。

最近の話題ですが、ピーマンの嫌いな子供に無理矢理食べさせても、ピーマンの栄養素は、その子供にはほとんど有益にならないとか。
また「今日は脂っこい物が食べたい。」と思った時は、からだがそれを欲している場合が多いらしいのです。

私たちは、習慣として肉も食べれば野菜も食べます。
うなぎを食べれば、梅干も一緒に食べます・・・?
スイカの天ぷらはからだに良い・・・?

pHの危険度
化学物質単独で考えると、酸の代表は塩酸、塩基の代表は水酸化ナトリウムといったところだと思います。
どちらが危険(怖い)かと、質問されると回答に困りますが、個人的には水酸化ナトリウムの方が怖いです。理由は、簡単です。痛くないからです。
日常生活を考えると、ほとんどの人がアルカリ性洗剤を使用し、酸性であるレモンを食べています。これらが危険(怖い)かというと、そんな事はありません。
(例外的に過敏な方もおられます。)
では、習慣的にそういったものを口にするのは大丈夫なのでしょうか。
これを考えると、少し危険度は変わってきます。
習慣的に酸またはアルカリに偏った食生活は危険です。
結論的には、バランスのとれた食事が最も大切なのです。

 

 

ミニミニ辞典でした・・・(^^)