炭焼きとは 著者の希望により、サイトへの掲載は終了しています。

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信濃白炭 炭師  原 伸介

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 炭焼きとは何か、を一言で表すと、「木の蒸し焼き」という事になります。もう少し詳しく言い換えると「原木中の燃焼性ガスを抜く『ガス抜き作業』である」と言えます。ですから炭は炎を出さないのです。(質のよくない炭は赤い炎を出しますが、それは「炭」とは呼べません。良質の炭は炎を出さないか、出しても高温の青い炎が少し上がる程度です。)
 酸素を極限まで絞った状態で炭窯の温度を上げていくと、「自発炭化」といって外部から熱を加えなくても原木の発する分解熱によって自然に炭化が進んでゆくようになります。そして炭化が終了したタイミングを見計らって窯を密閉して消火するのが黒炭、逆に窯を開けて炭を掻き出して消火するのが白炭です。黒炭は柔らかいので火付きはよいのですが火持ちは悪く燃焼時間は短くなります。逆に白炭は、火付きは悪いのですが火持ちはよく、じわじわといつまでも燃えています。「黒炭」の代表はお茶炭です。バーベキュー用として一般に市販されているのも黒炭です。「白炭」の代表はウバメガシを原木として焼かれる「備長炭」です。信濃白炭はクヌギとコナラを原木とする白炭です。白炭は燃料用途の他、最近では水の浄化や電磁波遮蔽、マイナスイオン効果、除湿・消臭などの用途での利用も盛んです。
 炭焼きは日本の山村に遥か昔から伝わる伝統技術であり、特に日本の白炭焼きの技術は間違いなく世界随一です。「白炭」の特徴は、「精煉」にあります。
 「精煉」とは、炭化終期に炭窯の中に酸素を徐々に送り込み中の原木を最高温度まで高めてやる作業のことで、これにより炭化純度が急激に高まり、金属音を発する堅い炭になります。窯の中の温度は1000℃前後になり、金色に発光した炭を窯の外に掻き出して「消し粉」と呼ばれる灰と砂の混合物に水を含ませたもので一気に冷却させ消火します。このときに炭の周りに白い灰がつくのが「白炭」と呼ばれる所以です。
 白炭焼きの難しさは「自発炭化」が始まったかどうかの見極めと、精錬のタイミングにあります。それらは全て煙が教えてくれます。色、匂い、形状、触ってみての粘り、味、煙道から吹き出す時の音で判断します。まさに視覚、嗅覚、触覚、味覚、聴覚の五感を総動員して、最終的には「勘」によって決断します。その時々の気温、風速、風向き、天候、湿度などの気象的要素に加えて、原木の樹種や太さ、伐採時期、伐採後の乾燥度、立てこみ方の良し悪し、そのときの窯の温度や乾燥度など、細かい要素が微妙に関係し合い、当然のことながら毎回炭化のときの条件が違います。それを総合的に判断する高度な判断力が「勘」です。炭焼きにおける「勘」とは「あてずっぽう」のことではないのです。「勘」の精度は、「経験」に比例し「自然に接する態度・心構え」によって磨かれていくと私は考えています。一度として全く同じ炭ができることはなく、そこが難しさであり、やめられない面白さであると言えます。苛酷な労働も、焼きあがって炭の発する金属音を聞くとき、全て報われます。
(C)原 伸介 1998-2004
Copyright S.Hara 1998-2004
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Web作成:N.KUBO:Last Update 2004.8.10.
Web作成に関しては、原著者原伸介氏の許諾を得て、N.KUBOが行なっています。

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